照明スイッチの交換に資格は要る?|電気工事士法の境界と、資格なしでできること
結論:壁に埋め込まれた照明スイッチやコンセントを取り替える・増やす工事は、電気工事士の資格が要ります。スマート対応のスイッチに替えたいときも同じです。資格がなくてもスマート化したいなら、配線にさわらない方法(スイッチを押すボット型の機器、スマート電球、スマートリモコン、電池式のリモコンスイッチなど)を選びます。
「スイッチを替えるだけなら、ネジを回すくらいだし自分でできそう」。動画を見るとそう思えるかもしれません。でも、壁の中の配線にさわる作業は、感電や火事につながるおそれがあるため、法律で資格のある人だけができる作業と決められています。
この記事では、どこからが資格の要る工事なのかを、法律の条文と経済産業省の資料をもとに整理しました。
この記事で分かること
- 資格が要る工事・要らない作業の境目(条文つきの早見表)
- 「軽微な工事」「露出型の取り替え」など、まぎらわしいところの読み方
- 資格なしでスマート化する方法と、工事を頼むときの流れ
『ひより、うちをつなぐ』「スイッチ、自分で替えていい?」
漫画の内容を文字で読む
- 1コマ目:夜、ひよりの部屋。ソファでスマホの動画を見ているひより(心の声)「スイッチを替えるだけなら、できそう…」
- 2コマ目:翌朝、アパートの前で真壁さんに聞くひより。ひより「スマートスイッチ、自分で替えてもいいですか?」
- 3コマ目:真壁さんがタブレットで「資格が要る」「要らない」の2列の表を見せる。真壁さん「壁の中の配線にさわるのは、資格が要る工事なんです」
- 4コマ目:ひよりがほっとした顔でうなずく。真壁さん「替えたいときは、管理会社に聞いて、電気工事士さんに頼みましょう」
資格が要る工事・要らない作業|早見表
結論:「壁の中の配線につながっている物を、付ける・外す・つなぐ」は資格が要る。「コンセントに挿す・電球を替える・電池で動く物を貼る」は、そもそも電気工事に当たらない使い方です。

| 作業 | 資格 | 理由(根拠) | 賃貸では |
|---|---|---|---|
| 壁に埋め込まれたスイッチを、スマートスイッチに取り替える | 要る | 配線器具を造営材(壁など)に取り付ける・電線を接続する作業(施行規則第2条) | 管理会社の許可+電気工事士さんに |
| 壁に埋め込まれたコンセントの取り替え・増設 | 要る | 同上 | 管理会社の許可+電気工事士さんに |
| 天井や壁の中の配線を延ばす・つなぐ | 要る | 電線相互を接続する作業など(施行規則第2条) | 管理会社の許可+電気工事士さんに |
| 壁の表面に付いている「露出型」のスイッチ・コンセントの取り替え | 法律上は要らない作業とされる | 施行規則第2条で、資格が要る作業から除かれている | 部屋の設備なので、まず管理会社に。不安なら電気工事士さんに |
| コンセントにスマートプラグを挿す | 要らない | 電気工事に当たらない使い方 | ふつうは連絡不要と考えられる |
| 電球をスマート電球に取り替える | 要らない | 電球の交換は、ふだんの使い方 | ふつうは連絡不要と考えられる |
| 電池で動く、スイッチを押すボット型の機器を貼る | 要らない | 配線にさわらない | 両面テープの跡に注意。迷ったら管理会社に |
| スマートリモコンを置く | 要らない | 配線にさわらない | ふつうは連絡不要と考えられる |
資格
- 壁に埋め込まれたスイッチを、スマートスイッチに取り替える
- 要る
- 壁に埋め込まれたコンセントの取り替え・増設
- 要る
- 天井や壁の中の配線を延ばす・つなぐ
- 要る
- 壁の表面に付いている「露出型」のスイッチ・コンセントの取り替え
- 法律上は要らない作業とされる
- コンセントにスマートプラグを挿す
- 要らない
- 電球をスマート電球に取り替える
- 要らない
- 電池で動く、スイッチを押すボット型の機器を貼る
- 要らない
- スマートリモコンを置く
- 要らない
理由(根拠)
- 壁に埋め込まれたスイッチを、スマートスイッチに取り替える
- 配線器具を造営材(壁など)に取り付ける・電線を接続する作業(施行規則第2条)
- 壁に埋め込まれたコンセントの取り替え・増設
- 同上
- 天井や壁の中の配線を延ばす・つなぐ
- 電線相互を接続する作業など(施行規則第2条)
- 壁の表面に付いている「露出型」のスイッチ・コンセントの取り替え
- 施行規則第2条で、資格が要る作業から除かれている
- コンセントにスマートプラグを挿す
- 電気工事に当たらない使い方
- 電球をスマート電球に取り替える
- 電球の交換は、ふだんの使い方
- 電池で動く、スイッチを押すボット型の機器を貼る
- 配線にさわらない
- スマートリモコンを置く
- 配線にさわらない
賃貸では
- 壁に埋め込まれたスイッチを、スマートスイッチに取り替える
- 管理会社の許可+電気工事士さんに
- 壁に埋め込まれたコンセントの取り替え・増設
- 管理会社の許可+電気工事士さんに
- 天井や壁の中の配線を延ばす・つなぐ
- 管理会社の許可+電気工事士さんに
- 壁の表面に付いている「露出型」のスイッチ・コンセントの取り替え
- 部屋の設備なので、まず管理会社に。不安なら電気工事士さんに
- コンセントにスマートプラグを挿す
- ふつうは連絡不要と考えられる
- 電球をスマート電球に取り替える
- ふつうは連絡不要と考えられる
- 電池で動く、スイッチを押すボット型の機器を貼る
- 両面テープの跡に注意。迷ったら管理会社に
- スマートリモコンを置く
- ふつうは連絡不要と考えられる
ここで大事なのは、表の「要らない」は資格が要らないという意味で、何をしてもよいという意味ではないことです。賃貸なら契約や管理会社の決まりが先にありますし、機器の取扱説明書の使い方を守ることも前提です。
法律では、どう決まっている?
結論:電気工事士法で「電気工事の作業は、電気工事士でなければしてはいけない」と決まっていて、例外が政令と省令に書かれています。
条文をそのまま読むと難しいので、仕組みだけ順番に見ていきます。

1.電気工事は、資格のある人だけができる(法第3条)
電気工事士法第3条第2項は、一般の家庭などの電気の設備(一般用電気工作物等)の電気工事の作業は、第一種または第二種の電気工事士でなければ、してはいけないと定めています。違反すると「3か月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金」の罰則があります(同法第14条)。
2.そもそも「電気工事」に入らない、軽微な工事(施行令第1条)
法第2条第3項は、「電気工事」から政令で定める軽微な工事を除いています。その中身が、電気工事士法施行令第1条です。たとえば次のようなものです。
- 電圧600ボルト以下で使う差込み接続器(プラグとプラグ受け)・ソケットなどや、スイッチなどの開閉器に、コードやキャブタイヤケーブルを接続する工事
- 電圧600ボルト以下で使う電気機器(配線器具を除く)や蓄電池の端子に、電線をねじ止めする工事
- インターホンや火災感知器などに使う小型変圧器(二次電圧が36ボルト以下)の、二次側の配線工事
経済産業省の資料は、この「軽微な工事」について、資格が要らないのは、接続器や開閉器と「コード」「キャブタイヤケーブル」をつなぐ工事に限られ、それ以外(壁の中の配線に使う「ケーブル」など)につなぐ場合は資格が必要だと説明しています。
3.電気工事だけれど、資格が要らない作業(施行規則第2条)
電気工事士法施行規則第2条は、反対に、資格がなければできない作業を並べています。その中に「配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業」があり、ここに「露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。」という括弧書きがあります。
つまり、壁の表面に付いている露出型のスイッチ(点滅器)やコンセントを取り替える作業は、資格が要る作業から外されています。一方で、壁に埋め込まれたスイッチやコンセント(埋込型)の取り替えは、資格が要る作業のままです。
出典:e-Gov法令検索「電気工事士法」第2条・第3条・第14条、「電気工事士法施行令」第1条、「電気工事士法施行規則」第2条/経済産業省「電気工事士等資格が不要な『軽微な工事』とは」(2026年10月16日確認)
まぎらわしいところ|3つの考え方
結論:迷ったら「壁の中の配線にさわるか」「壁や天井に固定するか」で考え、どちらかに当たりそうなら電気工事士さんに頼みます。

「露出型」と「埋込型」は、見た目で分けにくい
壁の表面に箱ごと出ている物が露出型、壁の穴の中に器具が入っていて、表にはプレートだけが見える物が埋込型です。見分けがつかないときは、自分で判断せずに、管理会社か電気工事士さんに確かめてください。
「スマートスイッチ」という名前でも、中身はいろいろ
同じ「スマートスイッチ」という名前でも、次の2種類があります。
- 壁のスイッチと取り替えるタイプ(配線につなぐ):資格が要る工事です。
- 今のスイッチの上や横に貼る・かぶせるタイプ、電池で動くリモコン式のスイッチ:配線にさわらないので、電気工事には当たらない使い方です【推測:製品ごとに取扱説明書で確認】。
買う前に、商品ページや取扱説明書で「取り付けに電気工事が必要」と書かれていないかを確かめましょう。
「動画で見たから、できそう」は理由にならない
工事のやり方を説明する動画や記事があっても、資格のない人がその作業をしてよいことにはなりません。経済産業省は、電気工事士法などの決まりは電気工事の欠陥による災害の発生を防ぐためのものだと説明しています(経済産業省「電気工事の安全」、2026年10月16日確認)。
『ひより、うちをつなぐ』「その"スマートスイッチ"、どっち?」
漫画の内容を文字で読む
- 1コマ目:ひよりがスマホの通販画面を見ている(画面の文字は読めない)。ひより「スマートスイッチ、安い!」
- 2コマ目:真壁さんがひよりのスマホをのぞきこみ、眼鏡を指で上げる。真壁さん「取り付けに工事が要るタイプか、見てみましょう」
- 3コマ目:タブレットに「取り替える(工事が要る)」と「上から貼る(工事が要らない)」の2つの絵。真壁さん「同じ名前でも、取り替える物と、貼る物があります」
- 4コマ目:ひよりが納得した笑顔。ひより「わたしは、貼るほうにします!」
資格なしで、スマート化する方法
結論:スイッチを押す機器、スマート電球、スマートリモコンの3つで、多くの「照明をスマホで」はかないます。

| やりたいこと | 資格なしでできる方法 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 壁のスイッチの照明を、スマホで入り切りしたい | スイッチを押すボット型の機器を貼る | スイッチの形が合うか。両面テープの跡 |
| 照明の明るさ・色を変えたい | スマート電球に取り替える | 口金の大きさ、器具が対応しているか |
| リモコンで動く照明を、スマホや声で操作したい | スマートリモコンを置く | 照明がリモコン(赤外線)対応か |
| 寝室など、別の場所からスイッチを操作したい | 電池式のリモコンスイッチ(照明側の対応が要る物も) | 照明やシステムとの組み合わせを公式ページで確認 |
賃貸で「貼る・挿す・赤外線」を始める手順と、原状回復の考え方は、賃貸でもできるスマートホーム|穴を開けない始め方と最初の1台にまとめています。
工事を頼むときの流れ
結論:賃貸なら「管理会社に相談 → 許可をもらう → 電気工事士さんに依頼」の順です。持ち家でも、工事は電気工事士さんに頼みます。

賃貸の場合
- 管理会社(大家さん)に相談する。スイッチやコンセントは部屋の設備です。替えてよいか、退去のときに元に戻す必要があるか、工事をする会社に決まりがあるかを聞きます。
- 許可を、メールなどの記録に残る形でもらう。
- 電気工事士さんに依頼する。見積もりのときに、取り付けたい機器の型番を伝え、その機器が付けられるかを確かめてもらいます。
管理会社への相談(文例)
持ち家の場合
持ち家でも、資格が要る工事は電気工事士さんにお願いします。自分の家だから自分でしてよい、ということにはなりません(電気工事士法第3条)。
よくある質問
Q1.スイッチのプレート(カバー)を外すだけなら、いいですか?
プレートを外して掃除するだけ、のようなことと、中の器具を外したり配線をつないだりする作業は別です。どこまでが資格の要らない範囲かは、個別の作業によって変わるので、迷ったら電気工事士さんに確かめてください。賃貸なら、まず管理会社に聞きましょう。
Q2.電気工事士の資格は、自分で取れますか?
第二種電気工事士の試験は、一般財団法人電気技術者試験センターが行っています(https://www.shiken.or.jp/ 、2026年10月16日確認)。合格したあと、都道府県知事から免状の交付を受けると、一般の家庭などの電気工事ができるようになります(電気工事士法第4条第2項・第4項)。試験の内容や日程は、試験センターの公式ページで確かめてください。
Q3.露出型のコンセントなら、自分で替えてもいいですか?
法律上は、露出型のスイッチ・コンセントの取り替えは、資格が要る作業から外されています。ただし、露出型かどうかの見分けや、取り替えの作業そのものに不安があるなら、電気工事士さんに頼んだほうが安心です。賃貸では、部屋の設備なので管理会社の許可が先です。
Q4.延長コードや電源タップを使うのは、工事ですか?
コンセントに挿して使う延長コードや電源タップは、ふだんの使い方で、電気工事には当たりません。つなぐ家電の合計の消費電力が、タップの上限を超えないように気をつけてください。
Q5.スマートスイッチを付けたら、ルーターの設定も要りますか?
Wi-Fiにつなぐ機器なら、アプリのアカウントとパスワード、ルーターの設定も大切です。
ルーターのチェックは、ルーターの初期パスワードのままは危ない|家庭のチェックで手順をまとめています。
『ひより、うちをつなぐ』「頼むなら、電気工事士さんに」
漫画の内容を文字で読む
- 1コマ目:ひよりの部屋で、ひよりがスマホで管理会社にメールを送る。ひより「替えていいか、先に聞いて…」
- 2コマ目:数日後、スマホに返信が届いて笑顔のひより(画面の文字は読めない)。ひより「OKだって!業者さんは決まってないみたい」
- 3コマ目:アパートの廊下で、真壁さんがメモ帳を見せる。真壁さん「見積もりのとき、付けたい機器の型番を伝えてくださいね」
- 4コマ目:ひよりがスマホを胸に、明るい顔。ひより「工事は、電気工事士さんにお願いします!」
まとめ|配線にさわるなら、電気工事士さんに
- 壁に埋め込まれたスイッチ・コンセントの取り替えや増設は、資格が要る工事(電気工事士法第3条、施行規則第2条)。罰則もあります(同法第14条)。
- 露出型のスイッチ・コンセントの取り替えは、資格が要る作業から外されていますが、見分けや作業に不安があれば電気工事士さんに。
- 資格なしでスマート化するなら、スイッチを押す機器・スマート電球・スマートリモコン。
- 賃貸は、管理会社に相談 → 許可 → 電気工事士さんに依頼の順で。

参考にした資料
- e-Gov法令検索「電気工事士法」https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000139 (第2条・第3条・第14条。2026年10月16日確認)
- e-Gov法令検索「電気工事士法施行令」https://laws.e-gov.go.jp/law/335CO0000000260 (第1条。2026年10月16日確認)
- e-Gov法令検索「電気工事士法施行規則」https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50000400097 (第2条。2026年10月16日確認)
- 経済産業省「電気工事士等資格が不要な『軽微な工事』とは」https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/1-3keibi.pdf (2026年10月16日確認)
- 一般財団法人電気技術者試験センター https://www.shiken.or.jp/ (2026年10月16日確認)
- 経済産業省「電気工事の安全」https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/detail/koji.html (2026年10月16日確認)